どうも、久しぶりに劇場へ足を運びました、hkmです。
以前「気になる」と申し上げた銀魂。
先日、ついに怖いもの見たさで観てきたんです。
ぶっちゃけ、結論から言えば面白かったんですよね。
悔しいけど。
面白い作品のネタバレは道義に反するので、ここでは、面白く「なってしまった」理由を僕なりに考えてみました。
ターゲット層の設定が上手い
映画化された実写版「銀魂」を観て、まず強く感じたのが、「ターゲット層の設定が上手いな」ということでした。
本来、少年ジャンプにて連載されている銀魂は、当然ながら「少年ジャンプを購入する層」をターゲットとした作品。
ふんだんなパロディネタや、いかにもジャンプっぽいネタ、遠慮のない下ネタなど、主に少年や、少年の心を忘れない大人、中身がおっさんな女子などを狙い打った作風です。
実際、大抵の話がキレのあるギャグで、面白おかしく笑いながら読むことができる。
ただ、だからこそ、そのまま実写化したら凄まじく寒いはずなんです。
が、そこを製作側自身がしっかりと把握していた。
「ジャンプを読む層」ではなく、「映画館に映画を観に来る層」をしっかりと狙っていたんです。
いや、そんな大雑把なものではなく、「普段はテレビドラマをよく視聴していて、俳優に興味のある、たまに映画館へ足を運ぶ女性」あたりをターゲットとしているような感じ。
で、映画の盛り上がりどころとなる「ギャグ」を、しっかりとその層がわかるようなネタにして。
演出も、ちゃんと実写栄えするようにして。
マンガだからこそ面白い表現。
アニメだからこそ面白い表現。
そして、実写映画だからこそ面白い表現。
そこの線引きをしっかりすることで、「観た人を楽しませる」という根本的なところを見失わない、消費者ファーストの映画になっているんだと思います。
大抵の実写作品って、ここ間違ったり、原作ファンと初見さん両方を満足させようとしてコケるんですよねぇ。
演者の使い方が上手い
で、次に感じたのが「演者さんの使い方が上手いな」ということでした。
とにかく、「誰が何をすれば面白いのか」というのがわかっているんです。
実写作品ならではの「他作品と同じ顔の奴が居る」というジレンマや、「演者の個性」を上手く生かした脚本作りになっていたんですよね。
ギャップの使い方も上手かったかなあ。
原作を持つ作品でありながら、原作の模倣にはならず、かといって別作品にはなっていない、というか。
例えばマンガであれば、全てはその世界で本当に起こっている事象。
創作さえされてしまえば、どのキャラクターも本心から喋っていて、行動しています。
アニメだと、どうしても声優さんを使う必要が出てくるので、「演技」という作りモノ以外の要素が介入。
絵と声の組み合わせで広がる面白さもあれば、寒くなる部分もあったりして。
根本からして別物として考えないと、ただの劣化コピーになるんです。
逆に、演技は声だけなので、それはそれで表現に対する葛藤なんかもあるとは思いますが、今回は割愛。俳優とどっちが上、とかではありません。一応。
……で、声だけのアニメでもそうなのに、動きも人が演じる実写映像作品だと、そりゃあ勝手が大きく変わってしまうんですよね。
その変わった勝手を、しっかりと面白さに変換しているんです。
気になる部分も幾つかある
深く語るとネタバレを避けられないため、浅く語るしかない映画、銀魂。
そこそこのお気に入り映画とはなりましたが、やはり気になる部分は幾つかあります。
正直、正負ともに細かい部分を挙げたらキリがないので、印象に残った点のみを挙げると
- 戦闘シーンの体感時間
- 人間関係のわかりづらさ
この2点。
戦闘シーンが長く感じる
まず、体感的な戦闘シーンの長さ。
個人的には、なんとも長く感じる。
これが、実際に長いだけなら良いんです。
ハラハラとする戦闘シーンを、でっかいスクリーンで観る!というのは、やはり映画の醍醐味ですから。
が、そういうもんじゃない。
どうにも、戦闘シーンがちゃっちく見えてしまうんですよね。
あまり野蛮な作品に出演しないのか、動作が薄っぺらい演者さんが多かったり。
超人的な強さを表現するのに、ただの早送りで対応していたり。
でありながら、そんな戦闘が冗長に続く、というか。
「戦闘シーンを押し出していない」ということでしょうし、その点に関しては全く不満点も無いのですが、じゃあもっと短くしても良くなかったか?なんて感じちゃいました。
もっと時間をかけて撮るか、尺を短めに取るか、どちらかの方が良かったんじゃないかなー、なんて。
迫力のあるシーンも当然ありますけどね?
人間関係がわかりづらい
あとは、登場人物の相関がわかりづらいのも難点かなぁ、と。
長期間の連載を誇る作品を原作としている以上、登場キャラクターの殆どは原作準拠となります。
で、どのキャラクターも、毎回それなりのドラマを持って登場するもの。
が、2時間という映画の尺で、とてもじゃないけどそのドラマを紹介しきることはできません。
となると、映画で初めて銀魂に触れた人は、キャラクターへの感情移入をおざなりにしたまま話が進んでしまうんです。
普通であれば、それでも「新撰組に名前が似てるし、幕府直属の警察機関なんだな」とか、なんとなくの全体像はつかめたりします。
でも、日本史を真面目に取り組まなかった場合、「は?」で終わってしまう。
「予め銀魂を読んでおけ」というほどではありませんが、日本史が苦手な方は、ある程度の予習がないとキャラクターの相関がわからないと思います。
さらに、ストーリーのシリアスな部分がキャラクター同士の関係に深く関わっているため、
「なんか勝手に喧嘩して仲直りしてるけど、こいつ敵?味方?」
となること必至。
「人間関係は意味わからんかった」とは、一緒に観ていた「銀魂も幕末も知らない小栗ファン」談。
「面白かった」とも言ってたけど。
おすすめか否かで言えばおすすめ
以上、1度だけざっくりと通しを見た僕が感じた、ネタバレなしの感想でした。
漫画を原作としておきながら、ただ面白いだけでなく、上手く間口の広い映画になっていると思うので、興味のある方は是非、劇場へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
「銀魂どうだった?」と聞かれれば「面白かった」と応えますし、人にもちゃんとおすすめできる作品だと思います。
ギャグパートではしっかりと沸いてましたし。劇場。
むしろ、どうしても沸いちゃうので、通しでしっかりと観たい、と言う方であれば円盤の発売やレンタルを待ったほうがいいかもしれませんね。
あ、ちなみに、パンフレットは何故かめちゃくちゃ高かったです。
820円。