全人類の夢とも言えるタイムマシン。

誰もが過去へ未来へ行くその乗り物を、一度は夢見たことがあるのではないでしょうか。

理屈めいた夢を見せるSF作品にも頻出するタイムマシンですが、そんなタイムマシンの扱いには誰もが慎重になることを強いています。

著者もそんな例に漏れず、過去をいじると現在はどうなってしまうのか……というSF妄想を寝る前にしてしまうので、いっそ形にしてみました。

たまにはこういう記事もいいよね。

ぼく

黒歴史はシェアしてなんぼよ

説1.変えた過去に則って現在が上書きされる

よくあるタイムスリップもののソレで、創作では割と主流とされがちな考え方。

理に適っているように感じるので、個人的に妄想する場合も上書き説推しです。

カオス理論やらバタフライエフェクトやら、心が躍る要素満載。

こういう妄想は、学術的な裏づけより楽しさを優先するべきでしょう。

変える前の現在を覚えていることはできない

「過去を変えて戻ったら、世界が荒廃していた……。」

ただ、これに関しては、さすがに無視できない矛盾が発生するように思えます。

過去に戻っている間世界と切り離されるように感じるのは、時間を自由に移動できない3次元的な人間の考え方です。

戻れるということは「過去」となっても存在しており、世界から消えるわけではないということ。

で、過去を変えたあなた自身も世界を構成する1パーツでしか無い。

となれば、荒廃するような手付けをした瞬間、そもそも元の世界は荒廃しているものだという記憶に置き換わるのでしょう。

そこには一抹の違和感すら覚えないのではないかな、と。

説2.そもそも過去を変えることができない

人間はそもそも過去に干渉できるように作られていないのではないか、というのがもう1つの妄想。

タイムマシンを作るための「特殊相対性理論」と、タイムマシンそのものが矛盾を孕んでいるのではないかという説です。

主流となるタイムマシンの理屈について

特殊相対性理論のタイムマシンに関する部分だけを都合よく抜き出すと、こんなもんでしょうか。

  • 速く動けば動くほど流れる時間が遅くなる
  • 速く動いたものからでも光は一定速度で観測できる

つまるところ、光速は観測しうる最高速であり、中の時間は無限大に伸びて(止まって)いる。

じゃあ、光速を超えた状態なら、待てば待つほど負の方向へ時間が進むんじゃない?って話ですね。

過去に戻る現象はありえる

前提として、真空でも光速より速い物質は科学的にありえると言われています。

あくまで今は否定できないというだけですが、否定できないのであれば肯定する術を探すのが科学。

むしろ速度に「ここまで」という上限のある方が、よほど違和感あるのではないでしょうか。

過去に戻るだけなら光速を超えるだけで良いと仮定すれば、過去に戻ることを否定する方法もなくなります。

説2-1.タイムマシンを作るのは不可能

「過去に戻る」という現象はありえる。ただ、人間を過去に送るタイムマシンを作ることはできない。

というのが、そもそも過去を変えられない説その1。

これは単純な話で、最初から光速を超えている物質(タキオン)はそもそも時間を逆行しているのだから、3次元に生きる人間には観測すらできないこと。

また、特殊相対性理論に則れば、正の質量を持っていると真空中の光速以上には加速できないこと。

仮に加速できるとしても、タイムマシンの加速機構が人間より先に光速を超えて、タイムマシンの一部だけ過去へ行くような気もしますし。

元から速い物質を捕まえられず、質量のある物質を光速へ加速させることができない以上、時間逆行できないよねって話ですね。

関連記事(外部サイト)なぜ光速を越えられないのか

説2-2.作れるが過去に干渉することは不可能

じゃあ、人間そのものを正の質量じゃなくせばいいんじゃね?

というのが、そもそも過去を変えられない説その2。

例えば仮に人間の「意識」が質量を持たないものだとしましょう。すると、意識だけなら光速を超えることが何もおかしくなくなるわけです。

質量の無いものを取り出すだけなら、科学の基礎とも言える質量保存の法則との矛盾もありません。何か方法が見つかるかも。やったね。

ただ質量が無いとなれば、過去へ行ったあなたが、その世界へ物質的に干渉することは難しいでしょう。

というかこれ、過去へ行った意識を現在へ戻すには、時間経過を待つしかないのも結構な苦行ですね……。

ぼく

人体そのものを質量0にするのは質量保存の法則さんに殴り殺されそう

未来の意識を今へぶち込んだ場合の矛盾

さて、タイムトラベルさせた意識とやらを元の身体に戻すことができると仮定するならば、未来から来た意識を今の身体にぶち込むこともできそうです。

その場合「現在」から見れば違和感こそないものの、「未来」から見れば過去にバリバリ干渉しています。

となるとこの「意識だけ飛ばす説」は、タイムマシンの技術確立が終えた瞬間以降の過去には干渉できるか、そもそも意識を身体には戻せない非可逆性の技術ということになります。

正直どちらにしろ地獄でしかないので、この説では何をどうやって飛ばすかが妄想の魅せどころになりそうですね。

あ、同一固体に戻さないと、脳の物理的構造として意識が確立できないとかそういうのでも可。過去の意識を戻さないことには、未来の意識も存在できませんし。

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番外.幽霊未来人説

この世界には『チェレンコフ放射』というものがあります。

チェレンコフ放射とは、ハチャメチャに端折って説明すると「光の速度を超えると光る」現象のこと。

で、先の「意識だけタイムスリップ説」は、意識だけを超光速で運動させて過去へ送る話。

もしかすると、過去へ到着した瞬間はぼんやりと発光しているかもしれません。

外から見れば、意識を持つ発光体……あっ、おばけだ!!!

『タイムマシンが仮に完成しているなら未来人を見たことのある奴がいるはず』なる矛盾も説明できちゃう!!

と、都合の良い理屈だけ引っ張り出せば、幽霊とタイムスリップを紐付けることも可能だったりします。そう、SFならね。

ぼく

結局過去には干渉してんだけど

実は未来へ行くほうが難しかったり

以上、タイムトラベルに関するSF妄想黒歴史でした。

ちなみに、世間一般として最も馴染みの深いであろうドラえもんのタイムマシン。

自在な時間移動が可能な優れものですが、実際に作ろうとすると、未来へ行くシステムを構築するほうが実は非科学的だったりします。

相対性理論では、時間の壁を超えて未来へ行くことが不可能なためですね。止まったところでっていう。

一応コールドスリープ技術は実用が見えてくる程度に進歩しているものの、それでは時間軸からは逃れられません。

もちろん、浦島効果だって同様。

こちらから未来の自分へ会いに行くことは適わぬ夢となりそうです。