「ゲーミング」という単語のせいで逆に胡散臭いイメージのゲーミングモニターですが、ずばりPCゲーム初心者こそ拘るべきアイテムだというのはご存知でしょうか。
もちろん、プロゲーマーだって大抵の方は「もう60Hzモニタでゲームはしたくない」と仰る程度には違いのあるゲーミングモニター。
そんなゲーミングモニターの恩恵は、パソコンでのゲームプレイに不慣れであれば不慣れであるほど大きくなるのです。
目次
ゲーミングモニターとは?
- リフレッシュレートが高いモニター
- 応答速度が速いモニター
日本で「ゲーミングモニター」と言うと、主に「リフレッシュレートが高く、応答速度が速いモニター」を指します。
明確に定義付けられている訳ではないので、メーカーが言ったもん勝ちな点には注意。
中には、安価なモニターを「ゲーミングモニター」と称して初心者に買わせるメーカーも存在しています。
リフレッシュレートが高い
30FPS以下がガクガクに感じるはず
とにもかくにも、リフレッシュレートの高さは必須項目。一般的には、144Hz以上のものをゲーミングモニターと呼ぶ風潮です。
リフレッシュレートとは、画面切り替え頻度の多さ。
デジタルに関係する映像は、ゲームだろうとYoutubeだろうとテレビだろうと、何枚もの静止画(画像)を連続して表示することで動きを表現しています。
そのため、切り替え頻度が高ければ高いほど、全ての動きがなめらかになるのです。
一般的なモニターは60Hz(60FPSまで正常表示)ですから、144Hzのモニターでも2倍以上なめらかに動きます。
1Hz = 1秒に1枚の画像を表示できる という意味
144hz出ないゲーミングモニターは情弱商法
ぶっちゃけてしまうと、ゲーミングモニターの価値の殆どはこの「リフレッシュレート」にあります。
逆に言えば、応答速度が速いだけで144Hzも出ないモニターをゲーミングモニターと称すのは、いささか時代錯誤感が否めません。
特に、120Hz出るならまだしも、60Hzの一般的なリフレッシュレートで「ゲーミングモニター」を自称している商品がある点には注意。
何も知らないユーザーを狙った商品なのは明らかで、正直売り方としてどうなのかな、という印象です。
応答速度が速い
ゲーミングモニターは、受信したデータを画面に表示する「応答速度」が速いのも特徴。
一般的なゲーミングモニターは、およそ1ms以内にパソコンから送られてきたデータを画面に表示できます。
msというのは「ミリセコンド」の略で、ミリの意味はミリメートルなどと同じ。セコンドが秒を意味するので、1msは1,000分の1秒を表します。
1msを体感できるほどの性能を持つ人間が殆ど存在しないので、1ms以内で応答するモニターは、すべて実質遅延無しと考えて差し支えないような気も。
理由1:なめらかにエイムできる
初心者こそ144Hz以上のゲーミングモニターを必要とする理由の1つ目は、エイム(照準合わせ)がなめらかに行えるようになること。
画面が飛び飛びにならないので、手の感覚がエイムに慣れていないうちから、目で見て無理やり照準を止められるんですよね。
使えばすぐ強くなるのもありますし、何より「エイムが合う感覚」を体に覚えさせられるので、上達の速度がとにかく速い。練習にもってこいなんです。
目でエイムできる
画面がなめらかであればあるほど、目で見て「止めたい!」と思った場所で止めやすくなります。
極端な話、秒間に1画面しか表示されないモニター(1Hz)でエイムするなら、1秒前の敵の位置から感覚だけで照準を合わせなければなりません。
ただ、上位層のプレイヤーって、実はコレできちゃうんですよ。ガチ勢が「言うて高Hzモニタ必要なくね?」っつってるのはそのせい。
1Hzのモニターなんてもう存在しないけども
練習にもってこい
目でエイムできると、その場で強いのも勿論のこと、上達にも大きく繋がるんですよね。
最終的には感覚でエイムするようになるのですが、そもそも実際にエイムが合った「正解」を体験しないと、覚えさせる感覚も何も無いんです。
となると、目であわせづらい60Hzモニターで上達するにはまぐれエイムが必要になります。
結果、上達の速度は144Hzモニター利用者より大きく劣ってしまうことになります。
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理由2:クリアリングの安定感が上がる
144Hzのモニターを使っていると、ほんの一瞬の動きでも画面に反映されやすくなります。
視界として集中している部分以外でも、ぱっとした動きが意識に入ってきやすくなるので、クリアリング(安全確認)の安定感も上がります。
特に初心者のうちは、見えた敵を見逃してそのまま裏取られてやられる、みたいなことも多いと思う(実際よくやった)ので、144Hzモニターは必須アイテムと言えるでしょう。
バトロワ系で恩恵が大きい
クリアリング安定感の向上は、どこから敵が来るかわからないバトロワ系のシューターゲームで特に恩恵が大きいです。
ApexLegendsやフォートナイト、PUBGあたりからゲーミングデバイスに手を出す方は、144Hzモニターから揃えるのを強くおすすめします。
理由3:反応の遅さを補える
ゲーミングモニターを使っていると、単純に反応の遅さを無理やり補えます。
応答速度の速いモニターが多いので、応答速度15ms程度の一般家庭用モニタと同じプレイヤー同士が撃ちあったら、ゲーミングモニターを使っているほうが勝ちます。
とはいえガチ勢の反応速度はもはや人間のソレではないので、上位層に撃ち勝てるようになるわけではないです。流石に。
というか奴らも144Hz以上のゲーミングモニター使ってる
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144Hz以上のゲーミングモニターの注意点
ゲーミングモニターはまさに「ゲーミング」と名乗るにふさわしい活躍を見せますが、残念ながら、144Hzモニターを買っただけでは意味の無い場合がほとんど。
モニター以外の環境も揃えて、初めて144Hzモニターの恩恵を受けられるようになる点には注意しましょう。
FPSを出せないと意味がない
いくらモニターが1秒間に144回のリフレッシュを繰り返しても、パソコンやハードからの情報が秒間60送信では意味がありません。
モニターにつないでいる端末が、遊んでいるゲームで秒間144フレームを送信できなければ、144Hzのモニターを買う意味が無いのです。
ゲームはパソコンソフトの中でも最も処理の重いカテゴリで、最新タイトルを満足にプレイしようとすると、どうしても専用のゲーミングPCが必要になります。
どいつもこいつもゲーミング
PS4やSwitchなどでも意味がない
PS4やXboxOneは秒間60フレーム。Switchに至っては秒間30フレームの送信に制限されています。
これはパソコンと比べて性能の低い家庭用ゲームでも処理落ちさせないための工夫なのですが、144Hzのモニターへ接続しても一切意味がありません。
むしろ、144を60で割り切ることができないので、実質50Hzくらいになります。
家庭用ゲーム機でも使うなら30の倍数のHz数のものを買うべき
ゲーム以外での恩恵は無い
ゲーミングモニターは、正直ゲーム以外でのシーンで恩恵がありません。
イラストを描くなら発色の良いIPS液晶にするべきですし、動画を見るなら大画面液晶の方が良いでしょう。
一応カーソルの追従速度が上がるので、ペンタブの感覚がリアルに近くはなりますけど……程度。
HDMIは2.0以上でないと非対応
よくあるモニタ接続端子の「HDMI」は、2.0以上の規格でないと、秒間60枚しか画面データを送れないので注意。
60Hzだろうが240Hzだろうが、HDMI1.0で接続するだけで全て同じ性能になってしまいます。
144Hzゲーミングモニターの選び方
当記事では「144Hzのモニター」をゲーミングモニターと呼称しているので、144Hz以上のリフレッシュレートは最低条件。
そのうえでゲーミングモニターを選ぶ指標としては、やはり応答速度は重視するべきでしょう。
また、画面解像度や画面サイズよりも、1インチあたりの画素数を重視するのがおすすめ。
27インチモニターを勧める方もいらっしゃいますが、Eスポーツに限って言えば24インチ以外は残念モニターです。
応答速度を最重要視
144Hzのモニターを選ぶ際、ゲーム目的で買うなら、やはり応答速度を重視するべきでしょう。
応答速度が速ければ速いほどアナログ操作が直に画面へ伝わるので、精密な操作がしやすくなります。
1ms以下のものを選んでおけば問題なし。
そもそもUSB接続に結構な遅延あるし
リフレッシュレートはパソコンにあわせる
144Hzより高いリフレッシュレートにするかどうかは、ゲームをプレイするパソコンにあわせて決めましょう。
もちろん240Hzのモニターは快適ですが、最新タイトルを240FPSでプレイできるパソコンはそう多くありません。
モニターは2台あって困るものでもないので、今240FPSで遊べないなら、まずは144Hzのモニターを買ってしまっても大丈夫です。
電子機器って結構すぐ安くなるし
サイズや解像度よりもdpi
ゲーミングモニターを選ぶ際は、モニタサイズや解像度よりも「dpi」を意識しましょう。
dpiというのは[dot per inch]の略で、1インチの間にどれだけの画素が詰まっているかというもの。
人間の視界のうち、集中して見られる範囲って、結構狭いんですよね。
そんな狭い視界の中、少しでも多くの情報を得るには、「画面の密度」が重要になります。
サイズの理想は24インチ
ゲーミングモニターにおけるサイズの理想は、ずばり24インチ。27インチはちょっとデカすぎると思います。
プレイ画面が大きければ大きいほど、視界に入る情報はむしろ減るので、ゲームプレイにおいては不利になります。
極論を言ってしまえば、同じ解像度なら「小さければ小さいほど有利」なのですが、フルHDでは24インチ程度が現実的に関の山。
その証拠として、億単位の賞金がかかっているオフライン大会でも、ヨーロッパだろうがアジアだろうが原則として24インチのフルHD液晶を使います。
24インチでプレイすればオフライン大会とほぼ同様の環境でプレイできるので、培った技術をそのまま丸ごと持っていけるのもメリットですよね。
曲面型はむしろ避けるべき
画面を見やすくする、という理由で画面がカーブしている液晶もありますが、こと「ゲームで強くなる」ためだけに買うならばむしろ避けるべきモニターです。
単純な話、曲げ方に統一規格がないので、磨いた腕がその液晶でしか使えなくなっちゃうんですよね。
生産終了したらゲーム引退すんのか?って言われるとちょっと違うので、おとなしく平面モニターを使うのが吉。
オフゲーやる分にはめっちゃ楽しいけど
駆動方式はTNで十分
駆動方式 | 特徴 |
---|---|
IPS | ・発色が良い ・視角が広い ・応答速度が悪い |
VA | ・全体的に中間程度 ・若干TN寄り |
TN | ・発色がもっさり ・斜めから見づらい ・応答速度が良い |
IPS・VA・TNと様々な駆動方式がある液晶モニターですが、ゲーム用と割り切るのであればTN方式で全く問題ありません。
むしろIPSレベルになると、応答速度を1msまで持っていくのが非常に難しいため、値段が高いだけでなく選択幅も狭まってしまいます。
結果として「良い144Hzモニター」が買えないので、TNで十分……というかTN推奨。
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おすすめの人気144Hzモニター
特徴 | メーカー | 型番 |
---|---|---|
信頼と実績 | BenQ | XL2411P |
超ハイコスパ | Acer | KG241QAbiip |
27インチのバランスモデル | Dell | S2719DGF |
楽しさ最重視 | AOC | C32G1/11 |
最強モニタ | ASUS | PG258Q |
まさかのIPS | ASUS | VG279Q |
ゲーミングモニターは決して安い買い物ではありませんから、個人的には実際に競技シーンで使われているモニタがおすすめです。
ただ、メーカーを気にしないならもっと高スペックのものがもっと安く買えてしまいます。
また、ゲームをもっと楽しみたいからゲーミングモニターを買うゲーマーの方には、違うアプローチでのモニター選択が必要なのも事実。
ということで、ちょっとやりすぎなくらい、状況別におすすめゲーミングモニターをまとめてみました。
実績のあるBenQ製(ZOWIE)が最も人気【XL2411P】
ゲーミングモニターと言えばまずはBenQ。ZOWIEというブランド名でも有名ですね。
「競技性の高いFPSの代表」とも言えるCounterStrikeの世界大会では、なんとVer.1.6から現在のGOに至るまで、10年近い間BenQ(ZOWIE)のモニタが使われ続けています。
実績だけでなく商品の質・価格ともにゲーマー目線のもので、144Hz+応答速度1msの欲しい部分が揃った「XL2411P」で3万円以下。
画像はDHOpenのもの(動画)。賞金1億円のFACEIT Majorでも採用されていました
メーカーを気にしないなら【KG241QAbiip】
メーカーは気にしない!とにかく安くて性能の高いゲーミングモニターが欲しい!
そんなあなたには、Acer(日本エイサー)から発売されているKG241QAbiipがおすすめ。
144Hzの高リフレッシュレートはもちろんのこと、なんと公表応答速度は驚異の0.6ms。
でもお高いんでしょう?いえいえ、144Hzモニターの中でも安価なモデルなんです。2万5千円ちょい。
27インチならDellがおすすめ【S2719DGF】
27インチの144hzモニターを探しているなら、DELLのS2719DGFが良モデル。
画面サイズや応答速度だけを見ればもっと安い144Hzモニタはあるのですが、その殆どが24インチ向けの解像度(1920×1080)のままなんですよね。
画素数は変わらないのに画面サイズが大きくなってしまうと、むしろそれぞれの画素を引き延ばすしかないので、画面は粗くなってしまいます。
対してS2719DGFであれば、安心のQHD(2560×1440)。もちろん安い買い物ではありませんが、27インチのゲーミングモニターを買うにはそれだけ覚悟が必要だということで。
強さより楽しさなら【C32G1/11】
強くなるためじゃなく、楽しくゲームをプレイするためにゲーミングモニターを買うなら、おすすめはAOCの「C32G1/11」。
144Hzかつ応答1msは当然として、画面サイズは驚異の31.5インチ・かつ曲面液晶。
大きな曲状の画面が視界にまとわりつくかのごとく鎮座するため、他モニターとは比べ物にならないくらいの没入感を得られます。
ただ、前述の通り視野に入る情報は少なくなりますし、エイム感覚も他モニタと共有できないので、オフライン大会に出る予定のある方は注意。クソモニタ以外の何者でもありません。
スペックを追うならASUS【PG258Q】
24インチ前後で、とにかく性能の高いモニタなら、ASUSのPG258Qがおすすめ。
応答速度こそ1msと標準的ですが、240HzかつG-SYNC対応の24.5インチで、価格は7万円ほど。
これ以上の価格帯のものはインチ数が大きくなる傾向にあり、逆に競技シーンでは不向きのお遊びカジュアル液晶になってしまいます。
高いと言えば高いですが、最高級品が7万円で買えると考えれば安いような気もしてくる不思議なモニタ。お買い得ではある。
色の質も求める(IPS)ならASUS【VG279Q】
IPS規格のゲーミングモニターを探しているなら、ASUSから発売されている「VG279Q」一択といっても過言ではないでしょう。
なんとVG279Qは、IPSにして応答速度1msを公言する化け物モニタ。
リフレッシュレートも144Hzあり、ゲーム用モニタとしての基礎性能は備わったうえでのIPS液晶です。
ただ、画面サイズが27インチからしかないのが玉に瑕。同価格でもいいから24インチ出してくれないかな。
また、発売から日も浅い現在(2019/02)では、国内通販での販売がほぼ行われていません。
アメリカのAmazonから直接購入はできるので、どうしてもIPSのゲーミングモニタが欲しいなら米尼へGO。