2019年2月に彗星のごとく現れ、あれよあれよと世界中で爆発的な流行となった無料FPSバトロワゲーム「ApexLegends」。
かの世界最大ゲームストリーミングサイト「Twitch」でランキング2位のDota2に対して3倍近いほどの視聴者数を誇っていることからも、その人気が伺えます。
当サイトでも初心者向けの攻略などについて少し触れたゲームですが、今回は少し趣向を変えて、何故ApexLegendsがここまで流行したのかについて考えてみました。
EAの広報、優秀すぎない?
目次
理由1:プロゲーマーも楽しめるゲームシステム
流行の根本的なところにあるのは、特定のゲームを極めたと言っても過言ではないような、世界における「トッププロ」ですら楽しく遊べてしまうゲームシステム。
「面白いゲーム」でなければ、流行することは難しいでしょう。
各プレイヤーでロール別けされた協力プレイは、やはりどの層にも刺さるのかな、という印象を受けます。
バトロワプレイヤーに新鮮なストラテジー要素
OverWatchやMOBA系ゲームを彷彿とさせるキャラピックは、1つのジャンルとして確立した「バトルロワイヤル」というゲームに大きな革新を与えました。
結局のところ、MOBAというジャンルの息が長いのは、キャラ同士の役割分担が楽しいからに他なりません。
実際にその仕様を対戦FPSに落とし込んだOverWatchは、マウスクリックによる移動に抵抗のあるFPS層を上手く取り込み、爆発的なヒット作となりました。
重要なのは、「バトロワプレイヤー」がその「FPSプレイヤー」ともまた層が若干違う点にあります。
ApexLegendsは、そんなバトロワプレイ層に協力の楽しさを上手く伝えた作品となれたために、今のヒットがあるのではないかな、と。
野良スクって案外敷居高いじゃない?言語の壁とかもあるし
キャラ相性で勝敗が決定しない
ApexLegendsは、キャラごとのぼんやりとしたロールがあるとはいえ、キャラ相性の影響が穏やかです。
大抵のキャラのアビリティは「敵を倒すこと」ではなく「エリアの制圧・奪取」などに特化したものがほとんどで、最終的な戦闘は結局拾った武器での撃ちあいになります。
多少の有利不利はあるものの、技術によって容易に覆せるのは、上級プレイヤーを萎えさせない重要なポイントではないでしょうか。
決して「詰み」は存在しないのよね
リプレイ性が非常に高い
ApexLegendsは、リプレイ性に優れている点も特徴です。
本質的な部分はバトロワなので、全滅した瞬間に敗北が決定し、さっさと次のゲームへ向かうことができます。
押されている試合を覆す努力も確かに面白いのですが、どうしても味方に求めるものが大きくなりますし、長いこと負け戦を続けるとぶっちゃけ疲れちゃうんですよね。
さらに言えば、負けても「次いこ次」で済ませられると、味方のプレイに対して寛容になれる人も増えます。
であれば「レートシステム」がほぼ必要なくなります。すると、チーム戦オンリーのシステムもあいまり、マッチングが非常に高速化します。
待ち時間が楽しいって人は早々いらっしゃらないでしょうし、これは大きなメリットと言えるでしょう。
勝てなくても長く遊べる
味方の蘇生やリスポーンをリソース消化無しに行えるため、連携を取れば濃く長く遊べます。
どれだけ弱くとも「ゲーム時間よりマッチング時間の方が長い」ということは無いでしょう。
また、連携を取れないチームが弱いのも逆にメリットで、噛み合わないプレイヤー同士がマッチングしてもすぐに解散できます。
結果として、楽しいチームであればあるほど長く遊べる良循環へとつながるのです。
理由2:ゲームの完成度を信じきった広報スタイル
とはいえ、面白く作っただけでは「流行」とまでは行きません。
多くの人にプレイしてもらうためには、その面白さを周知する必要があるのですが、その宣伝もEAは非常に上手でした。
初日にだけ「爆発的な広告」を打った
まずEAは、ApexLegendsの配信初日にだけ、爆発的な広告を打ちました。
FPSをプレイしている世界中の有名配信者やプロゲーマー数百人単位に、ApexLegendsの動画配信を依頼したのです。
結果として、配信初日のTwitchでは、人気配信の上位ほとんどがApexLegendsで埋まっていた記憶があります。
ただ、この際タイトルに「#ApexPertners」「#Ad」というハッシュタグ付与を義務付け、全ての配信が同じスポンサーから援助を受けた「広告配信」であることをあえてアピールしていました。
そうなると、やはり「なんだ、広告配信か」となるのが人の常でして、初日におけるApexLegendsへの印象は「資金かけてるんだなぁ」程度。
正直、いい印象は全く受けませんでしたし、Twitchユーザーの殆どにあまり良くない印象を与えたのではないかと思います。
今思うとこれがEAの罠
2日後以降の配信が自主的なものであることを強調できた
2日目以降のApexLegends配信には「#ApexPertners」「#Ad」という表記を義務付けなかったEA。
ですが、前述の通りプロゲーマーまで楽しめてしまうので、翌日以降もそこそこのApexLegends配信が残りました。
ここで重要なのが、Twitchの人気ランキング1ページ目を広告配信が席巻していた事実を、ユーザーの殆どが把握してしまっていた点。
悪い印象というのは、得てして良い印象よりも強く脳に残るものです。
そんな中広告配信の翌日に広告ではない配信が多く行われることで、これ以上無い「このゲーム面白いんだけど?」アピールになりました。
そもそもの周知は1日目で完璧に行われていたので、その後は視聴者・配信者数を減らすどころかジワジワと増やし続け、今の圧倒的人気に至ります。
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理由3:バトロワ初心者でも勝てちゃうゲームバランス
優れた広報により、その名を轟かせたApexLegends。
新規参入者の確保は問題ありませんが、それだけでは一瞬で他ゲームに埋もれてしまいます。
そうならなかったのは、バトロワ初心者でも勝ててしまうApexLegendsのシステムにあるはず。
新しく始めるプレイヤーは大勢いるのに、よくわからないまま蹂躙されて辞めるプレイヤーは殆ど居ないとあれば、そりゃあプレイ人口は増加の一途をたどるわけで。
味方と武器が強ければ放置でも勝てる
結局のところ、やはり「3人チーム」というのが絶妙。1人弱い程度であればゲームはほぼ問題なく遂行します。
至るところで言及されている「シグナル」システムもやはり優秀で、味方に索敵の上手いプレイヤーが1人でも居れば、初心者でも敵の位置をほぼ正確に把握できます。
このため、よくわからないままゲームが終了することは殆どありません。
しっかり戦闘に参加したうえでの勝利を初心者のうちから経験できるのは、間違いなく楽しさに一役買っているでしょう。
もちろん「蘇生」や「シグナル」も、チーム勝利の理由となりえます。自分が貢献した勝利は、キャリーされて得た勝利よりも一味も二味も優れているものなのはおわかりいただけるはず。
流行するべくして流行したゲーム
以上、著者の考える「ApexLegendsが世界的なブームとなった3つの理由」でした。
正直なところ、ApexLegendsに関しては、流行するべくして流行したゲームなのかな、と。
もちろん万人が面白いと言うゲームは存在しませんが、チームプレイの楽しさを可能な限り体験させ、チームプレイのストレスを可能な限り省いた良作ではないでしょうか。
もはや「流行した」というより「流行させた」ゲーム