Valheimのロゴ画像

アーリーアクセス(未完成版)ながらリリース後10日で100万本を売り上げ同時接続数も16万人を突破、早くも世界的な流行となりつつあるサバイバルRPG『Valheim』。

北欧神話を舞台としたアクションRPGで、育成や戦闘に軸を置いたゲームシステムでありながら、演出や細部のこだわりでサバイバル感もふんだんに詰め込まれた珠玉の一品です。

ありそうでなかった、かつ「こんなゲームがあったらいいな」なゲームに仕上がっており、マルチプレイのド定番の1つとなる可能性は十分ありそうな印象。デスペナ薄いのに緊張感はあるってすげーや。

ぼく

アーリーアクセス版かつ20時間のみプレイした時点でのレビューなので、アップデートやゲーム進行度によって内容が変わる点はご愛敬

『Valheim』概要

タイトル Valheim
ジャンル オープンワールドサバイバルクラフトRPG
プラットフォーム PC (Steam)
発売日 2021年2月2日(アーリーアクセス)
発売価格 2,050円(アーリーアクセス時)
開発元 Iron Gate AB
関連リンクSteam:Valheim

日本人向けのオープンワールドサバイバルRPG

『Valheim』を一言でずばり表すなら、「日本人向けのオープンワールドサバイバルRPG」。

海外製のいわゆる洋ゲーではあるのですが、日本で話題となりやすいゲームの良いところを集めたような作品になっています。

サバイバルゲームながら一度築き上げてしまえば早々全ロストとはならない仕様や、半永久的に使いまわせる強力な装備などの存在から、普段JRPGを遊ぶような層にこそおすすめしたい一作。

ぼく

サバイバル部分を意図的に簡略化しており、ガチガチのサバイバルゲー勢は逆に物足りなく感じるかも

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ゲームの軸がサバイバルではない

そもそも『Valheim』、ゲームとしての軸が「サバイバル」ではありません。

ゲームの目的がボスモンスターを倒すことであることからわかる通り、生き延びるゲームではなく戦うゲームです。

効率的なサバイバルのために戦うのではなく、効率的に戦うためにサバイバル要素があるようなイメージ。

ぼく

プレイ感はまさしくRPG

消耗品ではない装備アイテム

『Valheim』の装備品は、一度入手できれば最後まで使い続けられるものです。

耐久度の概念こそあれど、修理は無料でできるうえ、耐久度上限の減少や修理回数の制限などはありません。

どの装備も半永久的な利用が可能なので、めちゃくちゃ頑張れば強力な装備を獲得してから探索するような遊び方も可能です。

ぼく

ツクール製探索RPG的な遊び方よね

ロスのない解体が可能な建築物

建造した施設などは、解体時すべての素材を回収できます。

気軽にハウジングができるのはもちろんのこと、炭を作ったかまどを解体して炉に作り替えて金属を精製……なんて使いまわしも可能だったり。

ぼく

建材は特に重く設定されてるんで、木材持ち歩いてどこでも拠点!みたいなことは仕様を悪用しないと流石にできねっす

まさかのワープポータルが存在

valheimのワープポータル

Valheimには、サバイバルゲームとしては超えちゃいけないラインな気もする無償ワープポータルも存在。

素材さえそろえれば自分で好きな時に好きなだけ建造できるうえ、前述の通り設備の作りなおしがいくらでも可能。

進行度に応じた拠点の作り替えなどをする必要がありません。快適。

ぼく

サバイバルゲーの「快適」は賛否両論かもしれんけど

最初から自動更新マップ持ち

valheimの便利マップ

Valheimの主人公は、見下ろしタイプの自動更新マップを最初から持っています。

Mでいつでも開けるうえ、好きなところに好きなだけ文字入りのマップピンを立てることもでき、他プレイヤーと地図の共有まで可能です。

ぼく

探索ゲーにありがちな「ここどこ?」が起こらない仕様

操作キャラに育成要素あり

Valheimのキャラステータス画面

Valheimでは、操作キャラそのものにも武器熟練度などのステータスが存在しています。

クラフトしたアイテムだけで性能が左右されるわけではありません。

走っていればそのうち走るのが速くなりますし、剣を振っていればそのうち剣攻撃の威力が上がります。

ぼく

TESみたいな感じ

デスペナルティも超ゆるい

死んだ場合のペナルティもゆるめで、「アイテム全ドロップ」「スキル若干ロス」「スポーンポイントへ戻る」の3つだけ。

落とすだけで消失する心配はないうえ、優秀なマップに前回死んだポイントが表示されるため、回収も容易です。

アイテムドロップに関しても散らばるのではなく、チェスト替わりの墓石が生まれてインタラクトで回収するようなシステムで、アイテムのロストは無いと考えていいかも。

ぼく

遠征時、ポータル立てる前に倒されるとでっかい溜息は出るけど

深さのある戦闘システム

Valheimは戦闘をメインに据えたゲームであるためか、バトル部分には随所にこだわりが見られます。

攻撃・ガード・ローリング・ジャンプすべてで共有するスタミナや、ただ突っ込んでくるだけではない敵AIなど、ただの雑魚戦でも冗長にならない工夫が詰め込まれている印象を受けました。

スタミナ管理が重要なバトルシステム

Valheimの戦闘行動は、すべてが共通のスタミナを消費して行われます。

スタミナは時間で回復こそするもののその上限は低く、欲張って殴りすぎると回避もガードもできず致命傷を貰ったりと、常にスタミナ管理を意識しながら戦う必要が出てきます。

その分盾の性能などは序盤でも優秀で、技術でカバーできる部分も少なくありません。

ぼく

ソウルズ寄りと言えばソウルズ寄り。スタミナ上限は食事依存で、この辺が食材集めや料理に関わってくる

そこそこ優秀な敵AI

Valheimの敵AIは、サバイバルゲームとしてみるとなかなかに優秀。

ただ近づいてくるだけでなく、一度離れて背中側に回ろうとしてみたり、武器を持っていると逃げるくせに伐採用の斧に持ち帰ると殴ってきたりと工夫が見られます。

もちろん敵によってAIは違うため、初めて出会う敵には驚かされることもしばしば。

ぼく

大型の敵を樹にひっかけようものなら普通に殴って伐採するし

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戦わないなら生き延びるのは容易

ちなみにValheim、実は放置でプレイヤーキャラが死ぬことはありません。

あくまでゲームの目的は戦闘にあることがうかがえます。

良くも悪くも、水源確保などでゲームテンポが損なわれることはありませんでした。

水分を必要としない

そもそもValheimには「水分」という概念がありません。

濡れこそするものの、水を飲まずとも死なないどころか、水を飲むことができません。

空腹で死なない

全プレイヤーキャラははたとえ1年間なにも食べずとも生き続けられる超人です。

ただHP上限の殆どが効果中の食事アイテムに依存しており、食べずに戦うと死にます。

ぼく

間接的には生存に深くかかわっており、軽視できるというわけではない

「サバイバル感」を犠牲にしているわけではない

自然に殺されることがないからといって、サバイバル感が失われていないのがValheimの流行する所以。

例えば煙の流れや物理シミュレーションなどの細かい作りこみにより没入感が生まれ、その没入感がサバイバル体験にもつながっています。

屋内で焚火をすると死ぬ

Valheimのいぶされ主人公

Valheimでは、密室で焚火をするといぶされて死にます。ですが屋根が無いと雨風で火が消えます。でもって壁が無いと夜に魔物が襲ってきて死にます。

この場合はくわえて熱源がないとベッドで寝られない仕様もあり、換気まで気にして建築する必要がでてきます。

こういったように、細かい作りこみが単なるフレーバーとなっていないのはお見事。そのために屋根の傾斜も45度のものと26度のものがあったり。

ぼく

水平屋根は窒息するから豆腐ハウス勢も普通の家を作らざるを得ない

楽しい範疇の物理シミュレーション

例えば鍛冶で重要となる鉱石。これは非常に重いうえテレポート制限があります。

で、仕方なく拠点へ持ち帰るためにカートを使うものの、そのカートの中身が重すぎると坂が登れなかったり。

というかそもそも濡れていると岩肌滑りまくって坂が登れなかったり。

これらが理不尽な物理演算ではなく、ゲームを面白くする程度に差し込まれており、ただ歩くだけでも冒険らしさを提供してくれています。

ぼく

明らかにはみ出る小さい床にベッド置いたり片足の幅もないような足場を歩いたりはできる

原則NPCは存在しない

Valheimの商人

ぼく

序盤だとせいぜい商人が居るくらい

チュートリアル的なお助けキャラやランダム湧きの商人は存在するものの、まともに交流のできるNPCは存在しません。

消耗する世界における孤独は不安をあおり、その不安によって簡単なサバイバル要素でも「生き延びている」感覚を与えてくれます。

ぼく

「この世界のことを教えてくれる人」が出てこないと、難易度が低くても開拓してる感じが出る

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気になるかもしれないポイント

良作だと断言できるValheimですが、サバイバルゲームとアクションRPGの良いところ取りをした結果、新しくでる不満も当然あるわけで。

たとえばベースがサバイバルゲームなので「絶対に安全な場所」は無く、そのうえソロでもポーズは不可能。

また、世界のランダム生成のためかグラフィックリソースは抑えられ気味ですし、アクションもサバイバルも育成もどれも専門の名作には当然勝てません。

ぼく

「ゲームジャンル:Valheim」として楽しむ必要はある

ソロプレイでもポーズメニューが無い

Valheimはソロで遊んでいようと、ゲーム内時間を完全に停止させる手段がありません。

例えば拠点から離れた場所でリアル尿意に襲われると悲惨。

敵味方すべての攻撃に全ての物へのダメージ判定があるため、休憩用の木製建造物を作ろうがムキムキモンスターにバレると吹き飛ばされます。

ぼく

オートセーブ&再開時は最終ログアウト地点からなんで、トイレの度にゲーム終了みたいなことをすればなんとかなりはする

グラフィックは旧世代

Valheimのグラフィックは数年前水準どころか、PS2後期~PS3程度のポリゴン数です。ガクガク。

ただそのおかげでゲーム容量が小さくなっているうえ、ランダム生成マップにも幅が出てるので賛否両論ポイントではあります。

個人的にはゲーム体験を損ねるほどの印象はありませんでした。テクスチャが綺麗なのが大きいかも。

RPGとして見ると寂し気

NPCが存在しないためサバイバル感はあるものの、アクションRPGとして見ると寂しい側面も。

マルチプレイで多少改善はされるものの、とはいえやはりNPCとPCはまた別物かなと。

サバイバルとして見ると幅が狭い

行動のほぼすべてが『戦闘』のために行われますので、生き延びるためのアクションはごくわずか。

Valheimを純粋なサバイバルゲームとしてみると物足りないのは間違いないでしょう。

雑魚戦闘が少し面倒

AIが優秀な弊害として、小型の雑魚戦でも多少の思考が必要になります。

目的地と拠点を往復している時など、何も考えたくない時に敵とエンカウントすると頻度によっては気が滅入ることも。

いろんな良ゲーをまとめてプレイできるような内容

好きなだけ建物を造り直せるのはマイクラやサブノーティカに準ずる箱庭ゲーのような体験。

スタミナ管理の重要な戦闘はダークソウルなどに準ずるアクションRPGのような体験。

行動の度に強くなっていく育成はTESシリーズに代表されるがっつりやりこみ系RPGのような体験。

冒険の末に珠玉の装備を獲得するのはハクスラのような体験。

Valheimは、これらが広大かつランダム生成な世界を舞台に乗っかっている探索ゲームです。

誇張無しに『いいとこどり』なゲームになっていて、さらにはその良いところのどれもが日本人好みな内容になっている印象を受けました。

総評としては「洋ゲーではあるものの、日本製ゲームや日本で流行しがちなゲームを好きなゲーマーにこそおすすめしたい作品」で決まりかなと。

あくまでジャンルは「Valheim」

ただ万人にオススメこそできるものの、元からサバイバルゲームを嗜む層にだけはあまりオススメできない点に注意。

様々な層が楽しめるゲームにした結果、「生き延びる努力」という一点が薄まっているのは事実なので、緊張感を求めるなら別のゲームを触った方がいいかも。