吹き出しを使わない漫画は、もはやそれだけで特徴とまでされるほどの吹き出し。
今回は、そんな吹き出しの種類や名称、吹き出しごとの効果などについてまとめてみました。
あくまで「読者としてどう受け取っているか」だけど逆に珍しそうじゃん?
目次
「吹き出し」とは
吹き出しというのは、マンガなどの音が無い絵を主軸としたメディア(表現媒体)における、発声の表現技法です。
それぞれの形は「該当発言時に吐いている息」を視覚的に描写しており、形状やサイズに応じて、語感などを細かく表します。
爆発するような吹き出しなら強い発声を表せますし、2つに別ければ息継ぎや間も表現できますよね。
吹き出し同士の距離で時間を表現したりもする
吹き出しは記号じゃない
吹き出しはあくまで表現技法。イラストや書き文字と同列に扱われるべきもので、記号ではありません。
もちろん似た形の吹き出しを様々な作品で見かけはします。でも、それはみんなが偉い人のを参考にして流用しているだけなのです。
この吹き出しだからこういう意味を持つ!というようなモノではなく、説明も無くその印象を与えられるからなんとなく使われているだけに過ぎません。
そのためか、吹き出しごとの「正式名称」って実は存在しなかったり
一般的な吹き出し一覧
吹き出し | 効果 |
---|---|
風船・まる | 一般的な発声 |
針・破裂 | 声を張っている |
多角形・角ばり | 抑揚の無い声/事務的 |
長方形 | 引用/ナレーション |
多重多角形 | 電話/通信 |
波うつ・いびつ | 動悸/不安/恐れ |
雲 | やさしげ/ため息まじり |
集中線 | 声にならない/書き消えた |
途切れる | ノイズ交じり |
非均一な太さ | 不気味 |
楕円・風船・だるま・まる
未確認で進行形1巻より引用
- 一般的な発声
- 日常会話
はり・トゲ・破裂・爆発
スロウスタート1巻より引用
- 声を張っている
- 力強い印象
多角形・角ばり
- 抑揚の無い印象
- 冷淡
- 事務的
- 機械的
長方形
鬼桐さんの洗濯1巻より引用
- 引用
- 読者への説明
- 俯瞰的
- ナレーション
多重多角形
将来的に死んでくれ2巻より引用
- 電話
- 通信
波
こみっくがーるず1巻より引用
- 息の強弱がまばら
- 動悸
- 動揺
- 不安
- 恐れ
- 戸惑い
雲
俺んちのメイドさん5巻より引用
- やさしい声
- 空気を多分に含む
- ため息
- 手塚治虫
集中線・放射線
ぐらんぶる2巻より引用
- 声にならない声
- 以心伝心
- テレパシー
- 気付き
- 喧騒にかき消える/消えた声
途切れる外枠
熱帯魚は雪に焦がれる4巻より引用
- ノイズ交じり
このコマだけだと少し判りにくいですが、混雑による若干の聞き取りにくさを表現した吹き出しです
吹き出しを通して、都会の喧騒を描くことなく表しています
非均一な太さ
ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~1巻より引用
- 不気味な声
- 人ならざる声
組み合わせるのも効果的
からかい上手の高木さん11巻より引用
複数の吹き出しの特徴を組み合わせて、1つの吹き出しにしてみるのも効果的な表現技法です。
人間の感情が1つに絞られることはあまりありません。
となれば、むしろいびつな形をした吹き出しの方が、キャラクターのやり取りを自然に表せるかもしれませんね。
画像はいびつな針吹き出しの例で、戸惑いながらも声量は大きい様子が表現されている
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吹き出しを分割するポイント
どうしても、吹き出しの中が長文になってしまった。分割したいけど、どこで別ければいいのかわからない。
そんなときは実際に読んでみて、どこで息をするのか確かめてみましょう。
はい、そこでわけます。
逆手に取れば「肺活量のヤバい台詞」も簡単に表現できます
それでも困ったら句点で分割
あなたが素晴らしい肺活量の持ち主で、どうしても息継ぎができない場合、一度句点(。)で吹き出しを分けてみましょう。
句点は文章の終わりを意味していますから、声に出すと2拍ほどの休憩になります。
つまり、吹き出しの終わりと意味するところはだいたい同じです。
なんならマンガに句点はいらないまである
句点がなかった場合は読点だけど……
分割しようにも息継ぎがなく、句点も無い。でも、やっぱり1つの吹き出しにしちゃあ文字が多い。
そんなときは、読点(、)で分けてみるのが良い……、とは思うのですが、そもそもの文章に問題があるかもしれません。
発言者を表す出っ張りは「つの」「しっぽ」
吹き出しの端についている出っ張りは、「つの」や「しっぽ」と呼ばれているようです。
クリスタの説明ページには「しっぽ」とあり、画面外キャラの発言に使うへこんだ吹き出しを「逆ツノ」なんて読んでいるのを見ました。
もちろん呼び方なんてどうでもいいのでしょうが、「トゲ」や「ギザギザ」なんて表現してしまうと、破裂系の吹き出しとごっちゃになりそう。
つのやしっぽを泡状にすると「想像」
どの吹き出しも、つのやしっぽを泡のように表現すると、その人物の感想や想像を表せます。
こればかりはなんで?と言われると著者としてもなんで?です。
小説で一人称視点と三人称視点があるように、この表現自体、使うマンガと使わないマンガに別れますね。
長方形や集中線との使い分けについて
[個人的な使い分けイメージ]
・長方形…そこにいない人物の発言(ナレーター、その時間を振り返っている未来の主人公など)
・集中線…伝える相手がどこかに居る想い、決心(正負問わず)
・泡しっぽ…何気ない感想
声ではない文章を表す表現として、泡しっぽのほかに、長方形や集中線などもあります。
これらは、発言した人物や時間軸、内容などで使い分けると効果的かな、と。
特に泡しっぽは、キャラクターを掘り下げる用途が多いようなイメージ。ストーリーには関わらない感想的な。
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吹き出しの上達には「4コママンガ」がいいかも?
以上、読者目線の吹き出しについて思うことでした。
超絶個人的な感覚でこそありますが、コマの形・大きさが限られる4コママンガ界隈には、吹き出しを上手く使う人が多い印象です。
上手く吹き出しを使いこなせなくて悩んでいる方は、キャライメージの固まっている二次創作なんかで4コマを描いてみるといいかも?
今日イチの無責任発言です