2019年6月28日、満を持してリリースされた「総制作費12億円のブラウザゲーム」マジカミ。
12億円は伊達ではないようで、細部まで丁寧に作られている印象を受けました。
ただ、丁寧に作ったところで、大本となるコンセプトがどうしてもよくあるソシャゲ。
つまるところ、「面白いけど絶対流行しないゲーム」です。
だめじゃん
目次
マジカミの基本情報
リリース日 | 2019年6月26日 |
---|---|
価格 | 基本無料 + アイテム課金 |
ジャンル | 新世代型アーバンポップ魔法少女RPG |
……ってなに? | ATB形式なRPG |
対応端末 | PC |
対応ブラウザ | Google Chrome FireFox |
開発・運営 | 株式会社グリフォン |
アーバンは「都会的な」「垢抜けている」の意
ポップでパンチのあるファンタジーのようなSF
- ビビットな配色
- ポップなのに退廃的な雰囲気
- 物語の広がりを確信させる導入
著者がマジカミを起動して、いのいちばんに感じたのが世界の鮮やかさ。
シアン・マゼンダ・イエローの3色を基調とした、まぶしすぎさえする世界観は、楽しげな印象を受けます。
しかしシナリオを読み進めていくにつれ、死をも超える「終わり」の片鱗が見えはじめる……というのが主な導入部分。
ストーリーの大筋としては、ファンタジーの皮を被ったSFになりそうです。
とりあえずOPムービーにマジカミの雰囲気が全部詰まってます
ついつい気になるシナリオ
制作費をかけているだけあって、シナリオの大筋はどこで切っても次が気になる綺麗なシナリオ。
画面演出もどこか伏線を感じさせますし、ミスリードらしき要素もシナリオ序盤からちらほら。
恐らく量子力学がどうのなパラレル世界が軸になっていそうなので、現代を舞台にしたSF作品が好きな人は楽しめそうです。
今となっては良くも悪くも月並みでしょうか?
いわゆる「王道」の1つであるからして、個人としては好きな雰囲気
ソシャゲ要素が足を引っ張っている
シナリオの気になるマジカミですが、どうにもソシャゲ要素が足を引っ張っているようにも感じます。
ステージ攻略型のゲームだと、1つのクエストに長いテキストを入れるわけにもいきません。
もちろん、適度に戦闘も挟まなければならず、シナリオ構築に大きな制限が生まれます。
結果として、大きな起承転結に当たる場面では、3クリックでキャラクターの考え方が180度変化するような無茶が生じてしまっていました。
これ、別にやり方あったんじゃね?ってのが正直な感想。
ニトロゲーやりゃよくね?とはなる
総じてシナリオや演出は、「シュタインズゲート」や「スマガ」といった、ニトロプラス作品に強く影響を受けているように感じました。
でありながら前述のように、シナリオに無茶をさせている場面も多いです。
……となると、どうしても「参考にしてるゲームやりゃよくね?」なる考えが脳裏に過ぎります。
面白いゲームである反面、マジカミでなければいけない理由もあまり無いので、そこをどう差別化するかがサービス継続の課題となりそうですね。
スポンサードリンク
ATBを強く意識した戦闘システム
マジカミの戦闘は各キャラごとに独立した行動ゲージを持つコマンド選択式のRPGで、いわゆる「アクティブタイムバトル」に近いもの。
行動ゲージの増減方法が多く、編成によっては敵の行動を封殺することもできます。
状態異常なども豊富なのですが、戦闘中にテキストログとして行動が残らない点は気になりました。
敵の行動や戦況に応じて慎重に戦うゲーム性なのですが、「○○は△△を使った!」のようなログも無いので、全体的に何が起きているのか少し判りづらいです。
オート周回システムあり
マジカミには、なんと全てのクエストで使えるオート周回システムが存在しています。
スキップではないので、チケット消費などもない代わりに、実際にゲームが動き続けて時短にはならないタイプですね。
処理としては最速で「もう一度挑戦する」を選択しているだけなのですが、これがまぁ便利なのなんの。
マクロを禁止するだけして遊びにくくしているゲームは、マジカミをしっかり見習うように!!!
スポンサードリンク
育成要素は3種類
- ドレス(キャラ)
- 宝珠(装備)
- スキルレベル
キャラの育成要素はおもに3種類で、課金が影響するのはおもに「ドレス」の部分。
装備やスキルレベルに関してはドロップ品なので、スタミナ回復以外の課金要素は一切絡みません。
ドレス
いわゆる「カード」とか「キャラ」とか「ユニット」とか「モンスター」にあたる部分。
キャラそれぞれに複数着存在しており、同キャラの複数編成はできないものの、サブドレス枠もあるので引いても無駄にはならない仕様です。
レアリティはNからURまで存在し、SRまでの一部ドレスは通常クエストでドロップもします。
対人コンテンツで限定URが手に入ったりと、課金以外の入手手段も意識して用意はしているようです。
……とはいえ、メインがガチャなことには変わりありません。
やはり札束
限界突破あり
マジカミのドレスには、限界突破システムも存在しています。
限界突破は同種のドレスを重ねて行うタイプのもの。
ガチャ被りで汎用アイテムに変換されることもないため、高レアリティドレスの限界突破には骨が折れそうです。
宝珠
宝珠は、いわゆる「装備」や「武具」「アクセサリー」などに該当する部分です。
ガチャは存在せず、クエストでのドロップやミッションのクリア報酬などでのみ入手できます。
メインのステータス上昇値がランダムなうえ、さらにはランダムでサブ効果も付与される、良くも悪くも終わりの無い要素ですね。
DIABLOなんかのトレハンが好きな方は楽しめると思います。
イベント限定の優秀な宝珠が出てくると後発不利になる懸念はある
スキルレベル
その名の通り、ドレスごとのスキルを育成する要素です。
曜日クエストで素材を集めて強化します。
Slv上げと限界突破を別にしてくれているのがささやかながら嬉しいポイント。
この点に関しては、無課金でも遊びやすくて好印象です。
非同期の対人コンテンツあり
マジカミの対人コンテンツは、防御側がNPCになる非同期のもの。
攻撃側は操作ができるので有利に戦えます。
反面、日課としては少し重いかもしれません。
報酬はすこぶる美味しいタイプ
スポンサードリンク
マジカミが流行しなさそうな2つの理由
グラフィックや遊びやすさなど、細かいところまで丁寧に作られている印象のマジカミ。
ただ正直、どうあがいても「流行」することはないとも感じるのが事実。
大きな目新しさがないというのもありますが、もっと重要な理由が2つだけ存在するので、それについても触れてみましょう。
PCブラウザ専用
まず大きな理由として挙げられるのが、PCのブラウザでしか遊べないという点。
このご時勢、ゲームをブラウザ専用で作る理由が正直著者にはわかりません。
PCゲーマー層に訴えたいなら、熱中できるゲーム性か、メインゲームや画像編集ソフトの動作を阻害しない軽い動作のどちらかは必要でしょう。
また、ソシャゲ層に訴えたいなら、いの一番にスマホアプリとして遊べるようにするべきでしょう。
対して、マジカミを一言で表すなら「良く出来た重くてスマホで遊べないソシャゲ」なワケで、単品として熱中できるゲーム性が薄い割に、横で動かすには憚られるほどには動作が重く安定しません。
正直なところ、企画段階で「ターゲット層」を明確にできていないのではないかと感じました。
一応「あなたの部屋のPC」という要素がとても大きな意味を持っているので、シナリオとしての没入感を優先した結果なのかもしれませんが、それなら最初からノベルゲーでいいじゃんって。
エロ&キャラガチャ無しにして艦これ路線のがまだ良かったのでは
エロシーンがある
マジカミには、R18版(エロゲー版)も用意されています。
もちろん全年齢版も用意されており、データは共有可能。
製作陣としては「選べるなら無いよりあったほうがいいよね」的なノリなのかもしれませんが、こと商売として流行させるには、余計な要素であったと言わざるを得ないでしょう。
二次創作勢が逆に萎える
パンモロよりパンチラのがエロいように、日常に潜むつかの間のエロを妄想で広げるのが主な同人誌需要です。
逆に公式でエロがあると、それが『正解』として印象付けられてしまい、妄想の入る余地が無くなってしまいます。
一応「可能性」という逃げ道を公式で提示してはいるものの、それでも作家の創作意欲は逆に薄れる傾向にあるでしょう。
例えるなら、かの麻雀漫画「咲」の二次創作に、麻雀を打つ漫画が微塵も無いアレです。まだ東方キャラが麻雀してる同人誌の方が多いでしょ……?
流行には二次創作が付きものな業界ですし
プレイヤー層が絞られる
エロを公式で導入してしまうと、プレイする層が絞られようにも感じます。
エロとその他を別けて考えたい、利用したいという層は、現代社会においてぶっちゃけ多いです。
これは『草食男子』なんてのが話題になっていることからも伺えるハズ。
そもそもDMMという媒体自体が場末感もあります。結果、ゲーム内容的に狙うべき「無課金中高生」から遠くなりすぎているように感じました。
ソシャゲの課金って「無課金勢に差を付けられるから課金する」側面が強いと思うんですよね……。
限られたプレイヤーの課金で運用するなら、逆に開き直って最高レアリティ排出率を0.5%とかにする必要があるのではないかな、と。
や、まぁそうなったらやめますけど。
花騎士みたいに
声豚にコミットしづらい
スケベなシーンを入れてしまうと、どれだけ有名な声優の方を起用しようとも、大人の事情により波長レベルで声が似ている別人をキャスティングせざるを得ません。
著者のような「お、声優豪華やんけw」で入る層を取り入れづらくなるのも、こと商売としてはマイナス要素なのではないかなぁとは思いました。
誤解されないようにあらためておくと、波長自体は結構な豪華さなんスよ?ねんのため。
長期サービスにはならなさそう
以上が、マジカミをプレイしていて感じたことでした。
開発に資金がかかっている割に、インカムは他の量産ブラウザゲーと大差なさそうかな、というのが本音。
とあれば、運営が火の車になるのはそう遠くないかもしれません。
著者はプレイこそするものの、マジカミをメインゲームに据えるのを他人におすすめすることは無さそうです。
IFゲーかな?