Nvidiaが提供するクラウドストリーミングゲームプレイサービス『GeForceNow』の第二次ベータテストを実際に遊んで感じたリアルな情報をお届け。
残念ながらお金などは一切いただいていないため、過剰なヨイショなどはしない方向で。
サービスとして最も求められている部分は手堅く達成している反面、ハイスペックPCの代用とまではならないのかな?というのがライトゲーマー的な感想でした。
目次
そもそもどんなサービスなの?
GeForceNowをざっくり説明すると、『クソスゲェゲーム用PCを貸し出してくれる』サービス。
Nvidiaの用意したハイスペック仮想PCで機動させたゲームを、GeForceNowクライアントを通じて操作すれば、さながら動画程度の負荷で遊べちゃう!ってのが概要。
理論的にいえば、4K動画を再生できる環境があるなら、その画質でゲームもプレイできちゃうよね?ってサービスです。
無料でゲームを遊べるサービスではありません。プレイするにはそのゲームをSteamなどで持っている必要があります。
検証ゲームは『Assassin’s Creed® Odyssey』
ちなみにこの記事を書くにあたり採用したのは「アサシンズクリード オデッセイ」。
所有者が多く、そこそこに負荷もあり、変な操作をしても他人に迷惑がかからない……ということで。
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GeForceNowのここがスゴい!
- 圧倒的マシンスペック
- 思った以上に少ない操作遅延
- PCへの負荷がかなり緩い
最初に目に入るのは、やはり提供される仮想PCの性能。
間違ってもゲームだけでは使いきれないであろう16GBあるVRAMをはじめ、最新CPUに肉薄する性能の『Intel CC150』やら、見ているだけで笑顔になるスペックは流石の一言。
また『ネットを通じてプレイする』という点から懸念していた操作遅延は、正直ソロゲーじゃあ感じられない程度のものでした。
3点しか挙げられませんでしたが、最も必要としている3点をパスしているので、現状でも契約に値するサービスだとは思います
1.圧倒的マシンスペック
GeForceNow機の性能(アサクリオデッセイの場合) | |
---|---|
CPU | Intel® CC150 3.50GHz |
GPU | NVIDIA Tesla T10 (嘘臭い、TITAN RTX相当?) |
VRAM | 16GB(24GBって噂も) |
OS | Windows Server 2016 SE |
ベンチマークから確認する限り、CPUはCC150。
聞き慣れないのでググってみた感じ、単コアの性能が少し低い代わりに10コアの横幅でゴリ押す、並列処理ならi7-9700K相当の代物とのこと。
1台で複数ユーザーのゲームストリーミングを賄うため?
また、GPU表示はTeslaのT10とありますが流石にそんなことはなく、海外フォーラムを見る限りでは、TITAN RTXなどと同様の『TU102』コア搭載モデルの様子。
というかCUDAコア数4,608でROP数96ってことなんで、およそTITANと考えて差し支えないでしょう。Amazonで30万円くらいの代物(2020/02現在)。
VRAMは16GBとTITANの75%に落ち着いているものの、1台まるまる1ユーザーってことも無いでしょうし、普通にTITANが載ってるのかもしれませんね。
ゲームによって性能は異なるのでしょうが、アサクリのものは互換品を組むと40万円くらいかかりそうな構成
参考:
New servers on GeForce NOW
Intel CC150: The Strange Case of the CPU With 8C/16T and no Turbo
2.思った以上に少ない操作遅延
著者環境 | |
---|---|
ping | 3ms (東京都内サーバーを対象) |
最大の懸念点であった入力・操作遅延ですが、ことソロゲームに関しては、気にならないどころか「わからない」レベルでした。
あくまで回線などにも左右されるとは思いますが、ちょっと無理して起動させた『もっさり環境』と比べればむしろ遅延が無くなっていた印象。
こういった遅延は音ゲーなんかをプレイできれば正確な数値を出せるんですけど、残念ながら手持ちのリズムゲームは対象ゲーム外でした。
少なくとも30FPSでプレイするよりは快適。GeFoeceNowを利用するような層なら、対人ゲーですら遊びやすくなるかも?
3.PCへの負荷がかなり緩い
著者環境 | |
---|---|
Win搭載機 | Win7Pro/64bit i7 3770 (Ivy) GTX 660 Ti RAM 8.00GB |
サービスの肝なので当然といえば当然ですが、ゲームを最高品質でプレイしても、パソコン端末への負荷はかなり軽いものでした。
結構前に5万円程度で購入した著者環境でも、アサクリオデッセイを最高品質グラフィックでプレイしつつ、Chromeなどを使ってブラウジングができるのはさすがの一言。
環境があってもマシンパワーがゲームに付きっ切り!なんてことはままあると思うので、PC1台でプレイしながら何かをしたい方からすれば、かなり有益なサービスなんじゃないかなと。
GeForceNowのここが気になる!
- MOD導入不可能
- 対応ゲームはメジャーモノのみ
- スクリーンショット共有必須
- かなりのブロードバンド回線が必要
- プレイ毎のメール認証が面倒
じゃあゲーマーがハイスペックPCを購入する必要は全く無くなったのか!?といえば全くそういうわけでもなく。
あくまでベータ、さらにいえばクローズドベータテストでの感想ですが、細かい懸念点はいくつもありました。
そのほとんどが細かいとはいえ、どれも『PCでゲームをする理由』となりうる物であり、ヘビーゲーマーはPC買っちゃった方がよくね?というのが正直な感想。
1.MOD導入不可能
まず気になったのが、みんな大好き『MOD』の導入が不可能な点。
MODというのは簡単に言えばエンジョイチートのようなもので、新しいアイテムを追加したり、既存のキャラ・アイテムを別グラフィックに変えたりして楽しむもの。
ゲームデータがあるのはもちろん向こうの環境なので、別途こういったデータをインストールすることはできません。
スカイリムすらバニラで遊んじゃう原理主義者の著者ですらちょっと気になるレベルです。
いわゆる『割れ』(死語?)対策になってるのは良いと思う
2.対応ゲームはメジャーモノのみ
GeForceNowでのプレイに対応しているのは、Nvidia側が指定したもののみ。
現状でも調べきれないほどの膨大なゲーム量を誇り、これからの新規追加も期待はできるものの、とはいえマイナーゲーやインディーズゲーのほとんどがプレイできません。
個人的には、現状パソコンでプレイできるリズムゲームが中国・韓国を中心としたアジアコミュニティで作られたものばかりで、どれも対象外な点が少し悲しく感じました。
和ゲー対応は弱く、ファイナルファンタジー15とかすら対応してない(隻狼とかはしてる)
3.スクリーンショット共有必須
しがないサイト運営者としては、スクリーンショットをいちいちクラウド上に共有しないといけないのも気になりました。
Steamはスクリーンショットをローカルに保存するので、そのままでは向こうの仮想PCに保存され、終了後に取り出すことができません。
また、ゲームを終了すると自動的に仮想PCも閉じてしまいます。
つまり、左Shift+Tabで開けるオーバーレイなどから、一度クラウド上へアップロードしないとスクリーンショットが闇に消えてしまうのです。
再起動すると別の仮想PCを使うことになるので、開けないんじゃなくてマジで消える
4.かなりのブロードバンド回線が必要
PCの負担は思った以上に軽かった反面、必要な回線速度は思った以上に広かった印象。
実測下り330Mbps上り565Mbpsの著者環境ですら、最高品質でアサクリオデッセイをプレイすると画質がめちゃくちゃ圧縮されちゃいました。
フレッツ光、かつ安売りなどがない(アフィも無い)信頼できるプロバイダを使ってコレ。
NUROよりよほど安定していてこれなので、日本国内でその環境を活かしきれる方はほとんどいらっしゃらないんじゃないかなと。
間違っても電話回線での高画質プレイは不可能。
設定を下げれば快適に遊べそうではあるものの、パケット代がスゲェ事になりそうで、結局固定回線専用サービスかな?と。
参考:
EditNet公式ページ(最強プロバイダだけどアフィ案件が無くてあんまり紹介しないやつ)
5.プレイ毎のメール認証が面倒
プレイ毎に他PCでSteamアカウントへログインする都合上、毎回メールなどの認証手続きを行わなくてはなりません。
これ、ゲームの度にやらされると、単純ながら案外面倒です。
とはいえセキュリティ的観点から見れば切るわけにも行かないのがもどかしい
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面白いが万人にオススメできるサービスではない
以上、GeForceNowを個人的に統括すると、『面白いけど万人にはおすすめできない』といった結論。
てっきりヘビーユーザー向けのサービスかと思っていましたが、実態はその逆でした。
ゲームをガッツリやりこみたい方やMOD導入を検討しているような方は、ちょっと安めなゲーミングPCを購入した方がメリットは大きいと思います。
逆に、「家でのネットももっぱらモバイル端末!」といった方や、PS4などのコンシューマ機からPCへ移行する際の第一歩としては手放しにオススメ。
ソフトも単純にPC版の方が安かったりするよね