2022年1月にリリースされた、デジタル版の遊戯王OCG/TCG『遊戯王マスターデュエル(Master Duel)』のレビュー記事。
たまに環境は追うけど実際のカードは触らない動画勢な著者が、「遊戯王初心者」目線でプレイして感じたことを主に掲載。
課金するつもりで始めたのに、1つ目のデッキを組み終わってなお石が余る程度には無課金新規に優しいゲームでした。
現状だとぶっちゃけ「KONAMIが絡んでる」以外に不安・不満要素が無い完成度
目次
【遊戯王マスターデュエル】素晴らしい点
- 遊戯王TCG/OCGを高水準で再現
- 圧倒的カードプール
- 操作性の良さ
- 環境デッキを安価に組める
- 課金以外でのカード入手手段が豊富
遊戯王TCG/OCGを高水準で再現
『遊戯王マスターデュエル』は、遊戯王カードゲームをデジタル化することに特化したゲーム。
デュエルリンクスやタッグフォースのようなキャラゲー要素は薄く、また、それに伴う独自ルールなども存在しません。
まさに「遊戯王」そのものを遊べるゲーム。処理が全自動であるために、これから遊戯王を始めたいというアナタにも強くオススメできるゲームです。
ルールブック読むだけで理解できるようなカードゲームじゃないし……
圧倒的カードプール
『遊戯王マスターデュエル』は、「遊戯王関連ゲーム」および「デジタルカードゲーム」とどちらの側面から見ても圧倒的なカードプールが目を引くゲーム。
2022年1月時点で2021年中盤あたりまでのカードがほぼ全て実装されており、その種類はなんと1万を超えます。
遊戯王にはスタンダード落ちという概念が存在しないため、1万枚のうちの殆どが一般的な公式ルールで採用可能なのも嬉しいポイント。
まあ多すぎてどこから触ればいいのかわかんねえ側面もあるんだけども
操作性の良さ
『遊戯王マスターデュエル』は、操作性にも優れているゲーム。
複雑な処理や莫大なカードプールを擁しながら、レスポンスの良い直感的な操作が可能です。
特にマウスやタッチパネルでの操作は快適の一言。デッキ構築も快適。
ゲーム中にしろ構築中にしろ触るカードが多すぎて、パッド操作だと正直めんどくさいかもしんない
環境デッキを安価に組める
『遊戯王マスターデュエル』は、どのデッキであろうと構築にかかる費用が大差ありません。
結果として、相対的に環境デッキを安価に組めてしまう形。
別カードへの変換システム実装、およびその交換レートも悪くなく、パックからのレア排出率も納得の行く設定になっていると思います。
裏を返せばどんな趣味デッキでも大抵は環境デッキレベルの費用がかかるってことなんだけど
同レアリティカード3枚を任意カードへ変換可能
マスターデュエルでは、カードを分解するとレアリティに応じた素材(CP)を獲得可能。
その素材をカード3枚分集めると、好きなカードと交換できます。
レアリティごとに独立こそしていますが交換レートは悪くなく、後腐れなく低レアカードもクラフトできることもあり、概ねプレイヤーに有利な調整なのかなと。
パックからの高レア排出率が高い
レアリティ | 確率 | 期待値 |
---|---|---|
UR | 2.50% | 1枚/5パック |
SR | 7.50% | 3枚/5パック |
R | 35.00% | 14枚/5パック |
N | 55.00% | 22枚/5パック |
1パック8枚入りで100ジェム(200円)
パックのUR率は2.5%で、1パックには8枚のカードが封入されています。単純計算で5パックに1枚URが出る計算です。
また、マスターデュエルのテーマパックは、8枚のうち4枚がピックアップカードです。
つまり期待値で言えば、10パックに1枚希望テーマのURが引けつつ、30パックごとに変換でさらに任意URが手に入る形。
各テーマ内でレアリティが満遍なく設定されており、1デッキのURが10枚程度とすれば、80パック程度で組みたいデッキが構築可能です。
実際は還元率の良い加工(ホイル)カードや20パックに1枚UR確定の天井があってもう少し安い
課金以外でのカード入手手段が豊富
『遊戯王マスターデュエル』は、無課金プレイヤーがカードを入手する手段がそれなりに用意されているゲーム。
たとえば期間中のデュエル数によって報酬を獲得できる「デュエルパス」。上位版のゴールドパスも無償ジェムで購入できてしまいます。
また一度切りとはいえ、ソロモード攻略などのミッション報酬ですぐに2万円分を優に超えるジェムが配布されるため、ランクマッチを始めるためのジェムに困ることは無いでしょう。
あとはランクマの度におまけパックとかもらえるけど、これの排出カードは分解できない
内容も一部を除けばモリンフェンみたいなのとかすでにストラク複数積みのとかがほとんど
ゲーム初日に2万円分程度の課金通貨を獲得可能
新規プレイヤーとしてまず嬉しかったのが、初心者向けミッションによる莫大なジェム配布。
特にソロモード攻略に対するミッション報酬が潤沢です。
操作やルールへ触れるついでにソロモードを消化すれば、すでに構築したデッキを作り切る程度のジェムは獲得できてしまいます。
実際課金するつもりで遊び始めたのに、CPUには負けない程度のデッキを組んだ時点で10,000ジェムくらい余ってた
今はある程度納得行く構築でまだ8,000ジェム余ってるし、回しながらそのたびクラフトして調整……とかでCPを使わない限りは無課金でもデッキ1つ作れる
シーズンパスを無償ジェムで購入可能
有料シーズンパス(デュエルパスゴールド)を無償ジェムで購入できるのも無課金プレイヤーには嬉しい点。
600ジェムで購入可能で、完走すれば600ジェムが手に入るほか、URとSRそれぞれ10枚分解分(3枚クラフト可能)のCPも入手できます。
定期的にプレイできるのであれば、これは任意のURとSRがそれぞれ3枚配布されているようなものです。
シーズンごとのランクマッチプレイ時にポイントを獲得でき、そのポイントが一定数貯まるとランクアップして報酬……みたいなシステム
負けてもポイントが貯まるから買い得
【遊戯王マスターデュエル】気になった点
- 所持ジェム数に10,000の上限あり
- サービス終了の前科アリ
所持ジェム数に10,000の上限あり
『遊戯王マスターデュエル』には、所持ジェム数に10,000個(20,000円分)の上限があります。
これは序盤の石配布がとんでもなさ過ぎて、新規プレイヤーであれば無課金でも到達しうる値です。
そのため、課金額を抑えるプレイ戦略の1つである『貯めておいて新カード実装に全つっぱ』というような立ち回りはできません。
10,000ジェム以上獲得しようとすると期限プレボに入る
サービス終了の前科アリ
コナミはすでにオンライン版遊戯王OCG『遊戯王オンライン』を2005年にリリースしており、さらにその7年後の2012年にサービスを終了しています。
記憶にある限りでは課金があまりにも渋過ぎたこと、またカードプールがリアルタイムとかけ離れていたことなどマイナス点は多かったものの、とはいえ一度カード資産が無に帰している現実はとどめておくべきかもしれません。
逆にいえば、その点の反省を生かして現在のカード入手手段などが調整されていると捉えることもできるかも?
当時はWin版のみで、そもそも日本ではPCゲーの普及が進んでいなかった点から、客単価を上げる必要はあった
MDはマルチプラットフォームだし、カードゲーム業界自体が追い風だし、むしろ過酷な条件で7年続いたならMDも長く遊べる可能性も否定はできない
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【遊戯王マスターデュエル】どちらとも言えない点
- シングルデュエルが主
- マッチング戦はランクマッチのみ
- ピックアップパックが恒常だが時限
- 遊戯王TCG/OCGそのものが人を選ぶ
シングルデュエルが主
公式大会などでは2本先取(BO3)が主な遊戯王OCGですが、マスターデュエルのランク戦はシングル戦の1発勝負で行われます。
サイドデッキからのカード入れ替えで対応するようなデッキを対応しづらくなり、現実の環境とはまた異なるデッキが(それも理不尽に)猛威を奮うことになるでしょう。
とはいえ毎度3戦させられていてはゲームテンポも悪くなりますし、著者のようなカジュアル勢にはむしろポジティブな点。
バーン系デッキとか叢雲ビートとかエグゾとか、いわゆる『地雷デッキ』が普通に強いはず
マッチング戦はランクマッチのみ
マスターデュエルにおいて、ランダムな相手との対戦モードはランクマッチのみ。フリーマッチは存在しません。
ランクマッチで勝ち上がろうとするとデッキ傾向が凝り固まる可能性は高く、せっかくの豊富なカードプールがありながら、ごく一部を除いたカードの使い道が無くなりかねないのは気になります。
ただその分ランクマッチ人口は増えることとなり、結果として対戦相手に困るような状況は少なくなるのでやはり一長一短。
フレンド対戦のほか、誰でも参加できる対戦ルームを任意のタイミングで作ることも可能
でもルーム内でさらに卓を囲んで任意マッチングするシステムはランクマより敷居が高いかも
ピックアップパックが恒常だが時限
それぞれのテーマカードをピックアップした『シークレットパック』を買えるのは解放から24時間限定。
パック自体はピックアップカードのうちSR以上を入手(クラフトでも)すればいつでも解放できるうえ、解放回数に制限もないため、任意カードのPUが恒常と言えば優しい仕様です。
ただ、不足分の補填に課金をうながされると捉えれば厳しい仕様なのかなと。
8枚中4枚ピックアップ確定だし悪い仕様ではない
遊戯王TCG/OCGそのものが人を選ぶ
『遊戯王マスターデュエル』を1つの独立したゲームとして見た場合、そもそも遊戯王OCGが人を選びがちなカードゲームである点にも気を付けたいところ。
遊戯王カードゲームは始まりがファングッズであったため、ルール整備されたとはいえ「タイミングを逃す/逃さない」「対象を取る/取らない」など初見だと正気とは思えない裁定も多いです。
Steamレビューなどでも、悪評価はマスターデュエルというより遊戯王ルールそのものへ苦言を呈すものが多い様子。
個人的には大好きだけど、「カードゲームを探してる見知らぬ人にオススメできるか?」と言われれば著者個人としても首を縦には振りづらい
【結論】いわゆる『神ゲー』だが課金には慎重にならざるを得ない
総じて遊戯王マスターデュエルは、リリース時点であれば、名作とも言える仕上がりになっていると思います。
再現度・遊びやすさのどちらも手放しに褒められる完成度で、無課金でも対人を介さずにデッキ構築まで遊べながら、課金に割の合わなさもありません。
結果として著しい過疎に陥ることは無さそう。そして人口さえいれば、カードゲームはどうあがいても楽しくなってしまうものです。
ただ、やはり課金周りで数々の悪行を働いてきたコナミ関連ゲームである点や、すでに同コンセプトのゲームが一度サービス終了を経ている点は忘れてはならないのかなと。
課金は突然吹き飛んでも納得の行く額にとどめて、程よく遊ぶのが賢い付き合い方かも