使いそうで使わない、ちょっと使う『々』という記号。
これ、実は文字じゃなくて記号なんです。ご存知でしたか?
ということで、今回はそんな『々』について掘り下げてみました。
目次
『々』の読み方は「存在しない」
結論から言えば、『々』そのものに読み方は存在しません。
通称や呼び方は様々ありますが、「読み方」はその前の文字で変化するということで。
重箱の隅をつつくようなモノ言いで恐縮です
通称は「同ノ字点」や「ノマ」
口頭などで『々』を説明するときは、「同ノ字点(どうのじてん)」や「ノマ」と呼称します。
ノマについては見たままの通り。知らずに使っている方も多いのではないでしょうか?
総称して「踊り字」
こういった、日本古来よりある繰り返し符号のことを、「踊り字(おどりじ)」と総称します。
「踊り字」と言った場合、『々』だけでなく「ゝ」や「〃」も含まれてしまうので気を付けましょう。
「ま」を「ひらがな」って呼んじゃうようなもんです。
まー「ノマみたいなやつ」が適正感はあるよね
踊り字のなかまたち
名前 | 記号 | 使い方 |
---|---|---|
一ノ字点 | ゝ,ヽ,ゞ,ヾ | かな文字・カナ文字 |
同ノ字点 | 々 | 漢字 |
二ノ字点 | フォントなし | 漢字 |
くノ字点 | 〱,〲 | 複数文字 |
ノノ字点 | 〃 | 単語・文章 |
一ツ点・一ノ字点(ゝ,ヽ,ゞ,ヾ)
記号 | かな/カナ | 濁音 |
---|---|---|
ゝ | ひらがな | × |
ヽ | カタカナ | × |
ゞ | ひらがな | ○ |
ヾ | カタカナ | ○ |
かな文字やカナ文字の繰り返しに使われるのが、「一ノ字点」や「一ツ点」と呼ばれる符号たち。
「々」は漢字にのみ使われる記号なので、ひらがな・カタカナにはそれぞれ別の踊り字が割り当てられています。
あくまで「ゝ」や「ヽ」だけでおなじ文字を表すので、元から濁音がある文字の場合、わざわざ「ヾ」を使わない点には注意。
【使用例】
- 『「しゞま」から「ことゝひ」へ』 作:折口信夫
- ダヽヽヽといふ機銃の音 [坂口安吾 文章のカラダマ]
同ノ字点(々)
記事の冒頭で紹介した「々」は、さきほど説明した通り「同ノ字点(どうのじてん)」と呼ぶことが多いです。
必ず漢字にのみ使い、反復するのは1文字のみなのが特徴。
「『々』が書いてある」というより、「少ない画数で一つ前の漢字を省略している」と考えるのがわかりやすいかも。
まだれにマって書いて魔って読ませるのに近いイメージ
二ノ字点(該当フォントなし)
(4) 二ノ字点 「々」と同意で,手書きの場合に用いられる。
引用元: 踊り字-ブリタニカ国際大百科事典
「ζ」や「こ」のような形をした「二ノ字点(にのじてん)」は、同ノ字点『々』とおなじ意味の符号。
手書きの場合に用いられる書き文字で、漢字1文字を反復する場合に使用されます。
くノ字点(〱,〲)
縦に細長い「く」のような形をした踊り字は、その見た目の通り「くノ字点(くのじてん)」と呼称されます。
原則、たて読みでしか使用されない踊り字なので、当記事で使っている「〱,〲」も機種依存文字。
符号そのものより、縦に折れ曲がっていることが繰り返しを表しているので、青空文庫などでは「/\」でむりやり代用してたり。
【使用例】
- 生き〱(生き生き)
- ガラン〱(ガランガラン)
- さま〲(さまざま)
ノノ字点(〃)
点を二つ並べた踊り字は、「ノノ字点(ののじてん)」などと呼ばれます。
踊り字の中では最も大きな意味を包むもので、1つ前の内容をそのまま反復します。
文章の中よりも、主に箇条書きや表などで使われることが多いもの。踊り字では唯一、中国語や英語などの外国語でも使用される記号です。
英語では”ditto”と読み、メタモン(ポケモン)の英名由来にもなってます
スポンサードリンク
デジタル社会ではあまり使われない
以上、『々』やその仲間である踊り字の通称・使い方でした。
ただ、これらの符号って、恐らく「筆でいちいち書くのメンドいから省略しちゃろ」という所から生まれているはず。
入力の手軽なスマホやパソコンが普及した現在はあまり使われませんし、どうしても雑学の粋を出ることはなさそうですね。