「誹謗中傷」は、決して否定的な意見すべてを指した言葉ではありません。
ましては「批判」や「非難」などとは全くの異義語なのですが、著者は恥ずかしながら若干混合して捉えていました。
今回は、そんな「誹謗中傷」「批判」「非難」の違いについてまとめてみようと思います。
目次
簡単に言えば「根拠のない悪口」
誹謗中傷 | 非難 | 批判 | |
---|---|---|---|
根拠 | なし | あり | あり |
攻撃性 | あり | あり | なし |
犯罪性 | あり | 原則なし | 原則なし |
誹謗中傷(ヒボウチュウショウ)とは、簡単に言えば「根拠のない悪口」のことを指します。
根拠があれば「非難」となりますし、改善のための指摘であればそれは「批判」となります。
非難および批判は表現の自由として(原則)認められているのに対し、誹謗中傷は「名誉毀損罪」「侮辱罪」に該当しうる立派な犯罪行為です。
【もっと詳しく】誹謗中傷とは?
誹謗(ひぼう) | 他人を悪く言うこと。そしること。 |
---|---|
中傷(ちゅうしょう) | 根拠のないことを言いふらして、他人の名誉を傷つけること。 |
誹謗中傷とは、類義語である「誹謗」と「中傷」を組み合わせた言葉です。
誹謗は悪口全般を指す言葉で、中傷は名誉毀損を目的とした根拠のない情報発信を示す言葉。
つまるところ、「悪意ある根拠の無い情報を、公共の場へ発信する」ことを指します。
極論ではありますが、発言に何らかの客観的根拠があった場合、どれだけ攻撃的な意見であろうと「中傷」には該当しません。
該当犯罪 | 「名誉毀損罪」「侮辱罪」など |
---|
両義ともにデジタル大辞泉より引用
根拠があれば「非難」
人の欠点や過失などを取り上げて責めること。
対して、当人にとって責める根拠のある悪口のことは「非難」と呼びます。
事実を根拠としている場合、刑法231条「侮辱罪」には該当しません。
ただ、その事実が公共の利害に関するものでなく、公表することで対象の名誉が損なわれる場合は「名誉毀損罪」として扱われることもあります。
ゴシップ系週刊誌が生き残ってる時点でガバガバポリスなんだけど
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批判は悪いだけの意味ではない
- 物事に検討を加えて、判定・評価すること。
- 人の言動・仕事などの誤りや欠点を指摘し、正すべきであるとして論じること。
引用元: 批判(ひはん)の意味 – goo国語辞書
対して批判とは、物事を評価することの意。転じて、改善のために誤りを指摘することの意味もあります。
「批判」は決して否定的な意見だけではありません。
『あの映画はオチが良かった』、そんな意見も立派な「批判」の1つなのです。
もちろん否定的なだけの意見も批判の1つ
もちろん、否定的な意見・評価も批判のうち。
とはいえ良い点にも目を向けなければ[1.]に該当せず、「正すべきであるとして論じる」ことを怠れば[2.]に該当しません。それはただの攻撃で「非難」です。
また、正しさは個々それぞれが持ちえるものですから、批判をしたからといって改善するかと言うのも別の話。
批判する側もされる側も、冷静さを欠かず、話し合う意思を手放さないようにしたいですね。
デマ根拠の批判・非難は中傷になり得る
さて、根拠があれば誹謗中傷とはならないとお伝えしましたが、その根拠に証拠が無ければ話は変わります。
過去にはデマを鵜呑みにした集団が芸能人を犯罪者として糾弾し、約20人もの男女が警察に検挙された例もありました。
根拠というのは、当事者以外にとって非常に曖昧なもの。
SNSなどの普及で情報が発信しやすくなった昨今、我々も、流されるような意見で加害者にならないよう注意したいところです。